JWTC&JATA 第13回勉強会

2019年11月21日(木) 参加者39名 懇親会26名

『質の高い観光立国を目指して』

日本政府観光局(JNTO) 理事 山崎 道徳氏 講演

第13回JWTC×JATA合同勉強会は、日本政府観光局 理事 山崎道徳氏をお迎えして、『質の高い観光立国を目指して』というタイトルでご講演をいただきました。
軽妙につづられる語り口の魔力により、データだらけの硬い話もするすると頭に入ってしまう濃い1時間。
2020年の訪日旅行者数4,000万人という目標、またさらにその先の訪日観光産業に向けて質の高い観光立国を目指すにはどのようなアプローチができるのか、講演の冒頭からさまざまな事例を紹介してくださいました。

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なぜ観光立国なのでしょうか。

世界では海外旅行市場が増加を続け2020年には14億人、2030年には18億人に達する見込みで、中でもアジアはヨーロッパに次ぐ市場シェアになると言われています。そのような状況の中、観光産業がGDP総額に占める割合は世界平均で10%なのに対し日本は6.8%、また観光産業に関連する雇用も世界平均の10人に1人に対し日本は15.1人に1人とまだまだ隔たりがあるそうです。日本の人口が現在の1.26億人から2065年には8,800万人まで減少すると予想されていますが、訪日旅行者が増加することで地域経済が活性化し、日本人が日本に誇りと自信を取り戻せるのが観光立国の意義であると力強い言葉でおっしゃっていました。観光は人が訪れるかぎり雇用が失われることがないという言葉が印象的でした。

ビザ規制緩和やアジア諸国の経済発展により現在の訪日マーケットはアジアが約85%を占め、国内の消費は買い物代に依存しておりまだまだモノ消費が多い状況ですが、今後いかにして文化体験や宿泊・飲食などを含めたコト消費を増やしていくか、何がコト消費につながるのかを;

  1. 海外に比べ植生が多いことに着目した落葉松の林のウォーキングツアー
  2. 日本人にとっては下から見る滝も海外の人にとっては上から見下ろしジャンプするものという観点の違い
  3. 週末しかオープンできない状況だった旅館が平日の宿泊を埋めてくれる海外からの旅行者を積極的に取り込んだ結果生じた、予想だにしなかったお手洗いにまつわるおもしろ(!?)ハプニング
  4. 広がる田んぼの風景と小さなカエルが人気の里山サイクリングツアー
  5. 旅程管理が町全体でできている熊野古道
  6. 居酒屋しかない日本のナイトタイムを変えた博多の夜祭

などの実例と共に旅行会社が担う役割のヒントを伺うことができました。

質の高い観光立国への方向性のまとめとして掲げられたマーケティング強化、アジア顧客層の多様なニーズの深掘り、外国人目線での地方観光の磨き上げ、受け入れ態勢の充実化、持続可能な観光地域づくりへの連携、旅行会社の活躍という6つのポイントは、インバウンドだけではなくアウトバウンドにも通じるものがあり、今後の観光産業のあり方を考えるとても貴重な機会となりました。

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